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「平成29年第3回定例会・講演会情報」

平成29年11月24日(金)、当法人主催で「まちづくり」特別講演会を、千葉県流山市のNPOさとやま 理事長 樫氏を講師に迎え、「秋田市にぎわい交流館」にて開催し、約50名が参加(内当法人会員21名が参加)しました。


[講演概要]
テーマ 「おおたかの森と流山市のまちづくり」


○流山市の概要

  • 流山市は、東京のベッドタウンの位置づけである。つくばエクスプレスの開通により秋葉原まで約25分で行けるようになったため、人口が6年間で16,000人も増加し、2017年には181,000人となった。
    急激な人口増加に伴うインフラの整備が急務となってきたことや、住宅開発に伴う自然環境破壊の懸念、新住民の流入とコミュニティの形成への対処などが今後の課題として挙げられる。


○おおたかの森の保全経緯

  • 1992年10月、常磐新線の認可による沿線開発計画の中で、市野谷の森(通称「おおたかの森」)はほぼ全面開発されると発表された。
    しかし、同年オオタカの繁殖が確認されたことを機に「市野谷の森保全」の署名を集め、自然観察の森保全構想案を千葉県に提出した。
    1996年千葉県が50haのうち25haを保全することを発表、全面開発を防ぐことができた。

  • 2002年、市野谷の森公園での自然保護活動を目指し「NPOさとやま」を設立、オオタカの保護活動、自然観察会や生物多様性モニタリング調査などの活動を開始し、現在に至っている。

  • 今後の課題として、周辺住宅開発が進み自然環境が脅かされてきていること、オオタカの繁殖状況が思わしくないことや地権者が他の用途に土地利用する可能性があり県の買収が必要となってきていることなどが挙げられる。


○市民参加のまちづくり

  • 40歳以下の市民によるまちづくりの勉強会としての「流山まちづくり創世塾」、「まちづくり人養成塾」、子育てのため移住してきたキャリアウーマンのための「女性向け創業スクール」や流山市民まちづくりネットワークとしての「まちネット流山」など、市民が積極的にまちづくりに関わっている。


○流山市のブランド戦略

  • 流山市役所は、全国に先駆けて「マーケティング課]を設置。市の知名度アップ、イメージアップを図ると共に市のブランド化を推進するため、首都圏を対象に市の魅力をPRしており、子育て中の共働きファミリーを主なターゲットとして、定住化を促進する活動を行っている。

  • キャッチコピーによる戦略として、「都心から一番近い森のまち」流山市は豊かな緑に溢れ、森には多様な生物が棲み、都心に“つくばエクスプレス”で25分という通勤に便利な至近距離にあること。「母になるなら、流山市」「父になるなら、流山市」子育て世代のために駅前送迎保育ステーションの設置や子育てしやすい環境を整えていることを首都圏中心にプロモーションを行ったことが効果的であった。

  • 各種イベントの開催 有機栽培野菜やこだわりの食材を使ってつくられた食べ物が並ぶ市場の「流山グリーンフェスティバル」、食とパフォーマンスの「森のマルシェ・ド・ノエル」、「森のナイトカフェ」や運河水辺公園を舞台にした光と水の祭典の「運河シアターナイト」などのイベントを開催し市外・市民交流をはかっている。


流山市のブランディング戦略や「NPOさとやま」を中心とした市民参加によるまちづくりの素晴らしさに多くの学ぶべきものがあった講演でした。