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土地・空き家の活用と相続・税金に関する無料相談会を開催しました。

 令和6年3月23日(土)、土地・空き家の活用と相続・税金に関する無料相談会を秋田市上北手の遊学舎で開催し、講演会および相談会に会員・一般から18名が参加しました。講演は相続税の改正、相続登記の義務化、空き家とハザードマップという3つのテーマで行われ、最新の動向について理解を深めました。講演の内容は次の通りです。

【鈴木明夫税理士事務所 鈴木明夫税理士】

 相続税の改正についてと、最近増えている相続不動産を処分する際の事例について講演頂きました。

 相続税の改正では今年1月から、「相続時精算課税制度」に新たな非課税枠が加算されました。これまで生前贈与は2,500万円までが非課税(特別控除)でしたが、改正後は、特別控除の2,500万円とは別に年110万円までの基礎控除が認められるようになりました。改正ではこのほか、生前贈与の加算対象期間が「亡くなって3年以内」から「7年以内」に延長されました。親から贈与と相続を受ける人は、7年間さかのぼって加算されることになります。

 鈴木先生は最近の事例として、相続した不動産を処分する際の注意点にも触れました。例えば亡くなった親が住んでいた住宅を売却した時、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例では、建物を新耐震基準に改修する、解体するなどいくつかの条件があります。相続税申告期限の翌日以後、3年以内に不動産を売却すると、譲渡所得税が節税になる特例もありますが、これにも一定の条件があります。

 なお、譲渡所得税の税額は「総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除×税率」となるため、取得費と譲渡費用を無視して3,000万円が控除されるわけではありません。ですがこの「取得費」(親が住宅等を購入した金額)が分からずに困る人が近年は多いそうです。鈴木先生は「引っ越しなどの際、古い権利書などは絶対に捨てず、次の世代に残してバトンタッチしてほしい」と呼びかけていました。

【司法書士田口司法事務所・佐々木大輔司法書士】

 「相続登記の義務化について~今からできること~」のテーマで講演。今年4月1日からの制度開始に向け、ポイントや注意点などを説明して頂きました。

 佐々木先生は相続登記について「土地・建物の所有者が亡くなっても相続されないケースが増え、所有者不明土地が問題になっている」と説明。相続登記されていない土地は後々相続人になる関係者が増え、登記がさらに難しくなったり、責任の所在が曖昧になったり、適切な管理が難しくなるそうです。

 相続登記は相続人の数が多いほど煩雑になるため、何代にも渡って登記がされていないケースもあります。今回の義務化では、今年4月1日以前に発生した相続について、同日から3年以内に相続登記をしなければ10万円以下の過料が課せられることになります。ただ、相続が開始されて自分が相続人だと申し出る「相続人申告登記の制度化」を活用すれば、期限内登記の罰則(10万円の過料)は免れることができます。

 反対に未来の相続登記が煩雑にならないためには、誰が不動産を相続するのかを話し合う「遺産分割協議」がありますが、不仲や遠方にいるなどの理由で協議がまとまらないケースが多いそうです。このような時に活用されているのが遺言書です。

 遺言書の効力は強く、民法の相続割合や相続人同士の話し合いよりも遺言書の内容が優先されます。遺言でも奪うことのできない最低限度の「遺留分」(兄弟・姉妹には認められません)もありますが、遺言書には遺留分を侵害する効力もあるため、遺留分は1年以内に請求をした方が良いそうです。

 このほか、すでに施行されているものとして「相続土地国庫帰属の制度化」を紹介。10年間の土地の管理費相当額の負担金を支払えば、相続などで取得した未利用地を手放し国に引き取ってもらえますが、◇建物が存在する ◇担保権等が設定されている ◇通路など他人による使用が予定されている ◇土壌汚染がある ◇境界に争いがある―土地は申請できません。

 佐々木先生は終わりに「せっかくの制度が絵に描いた餅にならないよう、我々司法書士も色々と提言していかなければならない」と話していました。

【当会の納谷崇理事長】

 当会の納谷崇理事長(株式会社財産コンサルティング代表取締役)は、ハザードマップや空き地・空き家について講演しました。

 納谷理事長は、昨年7月と平成29年の大雨災害を振り返り、複数の地区を貼り合わせた秋田市全体の水害ハザードマップを示したうえで、「危険度を示す色付けがされているのは川に近い場所がほとんど。被害が大きかった楢山大元町や広面地区などの住宅街は、危険区域だということが分かりづらくなっている」と分析しました。

 内水氾濫については、秋田市が作成している「内水浸水想定区域図」を紹介。「作成済みは『仁井田、御野場、大住、牛島地区の一部』と『中通、南通、楢山、千秋地区の一部』の2つのエリアだけ。今時点で色付けの無いエリアでも、一概に安心とは言えない」と呼びかけました。

 大雨被害の影響で、不動産購入などを検討する人や県外からの転居者は、過去の水災履歴を確認するようになったそうです。被災して別のエリアに転居するため住宅を建築している人もいます。実際、桜地区に住んでいた人が、高台にある桜ガ丘の物件を求め、桜ガ丘の土地価格が高騰して希少になっているそうです。このほか、高基礎やステップなど水災対策を施した住宅を建てる人も増加。水災保険の加入も進むようになってきました。納谷理事長は「水害のあった不動産の価格は3年~5年ぐらい、価格の上昇は難しいと思う」と指摘します。

 また、被災した住宅の13%~15%が空き家だったと報告。「被災エリアは土地の価格が下がり、被災住宅の片づけも必要になる。放置して空き家にしておくほど、不動産の評価も下がる」としたほか、「空き家を放置して倒壊などの恐れがある『特定空き家』に認定されると、固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)も受けられなくなる」と説明し、「もし不要な不動産を所有しているなら、災害を想定してできるだけ早く売却をした方が良い」との考えを示しました。

 空き地や空き家の有効活用について、空き地ではスマートフォン決済により1日単位で駐車場として空き地を使用できる「akippa」や、月極駐車場の検索とオンライン契約ができる「アットパーキング」などを紹介。空き家では、古い実家をリノベーションし、秋田公立美術大学の女子学生専用シェアハウスを運営する「治五右衛門」や、秋田市が不動産会社を抽選で選んでくれるサービス「空き家バンク」を紹介しました。

【無料相談会に18人】

 講演後に行われた個別の相談会には、相続税に関する相談に4人、相続登記に関する相談に12人、土地・建物に関する相談が2人で、延べ18人が来場し、当会の税理士や司法書士、宅地建物取引士の話を熱心に話を聞いていました。