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北海道視察に行ってきました。

 令和5年8月16・17日、当会メンバー8名が北海道を訪れ、日本ハムファイターズの本拠地である北広島市の球場「ES CON FIELD(エスコンフィールド)HOKKAIDO」や、公的助成金により人口が増加に転じている南幌町などを視察しました。

【エスコンフィールドHOKKAIDO】

 北広島市では、今年3月に開業した新球場エスコンフィールドと、その周辺エリアを含めた「北海道ボールパークFビレッジ」についてお話を聴くため、北広島市役所を訪問。同市経済部ボールパーク連携推進室の柴清文次長(室長兼務)が、まちづくりの観点から事業の説明をしてくださいました。
 50年間、遊休地となっていた市有地で、市が平成27年に官民連携による総合運動公園の検討調査を開始した後、室内練習場の誘致で市と接点のあったファイターズの新球場構想が浮上しました。市がファイターズに提案書を提出し、「きたひろしま総合運動公園予定地」だった約32haに新球場の建設が決定。今年1月に竣工し、3月30日に開幕しています。人口や産業規模の将来推計から、市街地として必要な面積を算出して市街化区域に編入するなど、行政的なサポートがあったことも建設地決定の決め手になったようです。

 視察した球場内には約3万席の観客席や世界最大級の大型LEDビジョン、最新鋭の音響設備が整備されているほか、たくさんの飲食店が集まるエリアやクラフトビールをはじめとする多くのグルメショップ、世界初の球場内温泉とサウナ、フィールドが一望できるアジア初の球場一体型ホテル、ミュージアムなどがあります。また、屋外には子供の遊び場、広場、アドベンチャーパーク、ドッグラン、ガーデン、ミニフィールド、認定こども園、ヴィラなどがあり、もはや一つの「街」になっています。

 Fビレッジ自体は、日本ハムファイターズや日本ハムなどの出資会社「株式会社ファイターズスポーツ&エンターテイメント」が運営しているため、市はアクセス道路の新設や新駅整備の請願などを行っているほか、「JR北広島駅の西口周辺エリア活性化整備計画」などの事業にも着手しています。近隣の16市町村や各種行政機関、民間事業者で「オール北海道ボールパーク推進協議会」を設立し、広域的な連携体制で臨んでいます。
 ボールパーク連携推進室の柴さんは「50年の遊休地にパークを整備することで、新たな税収が安定的に得られ、まちが発展できることが市にとって最大のメリット」と分析。また、官民連携で事業を進めていることについて、「行政側の課題は、民間と向き合う際のスピード感。パートナー企業と向き合う時にスピード感の違いを感じた。ただ、5万7,000人ほどの小さな町のためトップである市長との距離が近く、スピード感のある意思決定が可能だった」と話していました。

【移住者・在住者への助成で人口増、南幌町】

 石狩平野に位置する南幌町は、夕張川や千歳川に囲まれた人口7,546人の町。札幌市のベッドタウンとして平成10年には人口がピークの1万人を迎えましたが、宅地販売の停滞などにより令和4年までは減少が続いていました。最近は子育て世代の移住促進施策などの効果により再び増加に転じ、現在も増え続けているそうです。総務省の最新調査によると、日本人人口の増加率が、南幌町は全国の町村で最高の2.09%となっています。
 南幌町では、高校生までの通院・入院費や学校給食の米・麺・パン代を町が全額助成しているほか、道内の高校に通学する生徒の通学費を1カ月1万円上限で助成。中学生までの子供1人あたりに10kg/年の「子育て支援米」も支給しています。公園やお祭り、イベントなど子供の成長を支えるコンテンツも多いほか、姉妹町の熊本県多良木町との児童相互交流(小学生)や、短期留学・ホームステイを行う国際交流プログラム(中学生)などにも力を入れています。また、地域ぐるみで子どもたちを見守る「なんぽろせわずき・せわやき隊」を設置するなど、安全安心にも配慮されています。
 住宅施策では中学生以下の子供がいる世帯、または夫婦ともに年齢が40歳未満の世帯を対象に、町外からの転入者が住宅を建設する際に最大200万円の助成金が受けられるほか、分譲団地の宅地価格が半額になるなど、大胆な助成で町外からの転入を増やしています。すでに町に住んでいる人でも最大100万円の助成金が受けられるなど、子育て世帯のマイホームづくりを応援する施策が充実しています。東町というところには木造平屋建ての移住体験住宅があり、有料で最大2週間、南幌町での暮らしを体験することができます。今回の視察ではこの移住体験住宅や、住宅建設が進む周辺の分譲地のほか、今年5月にオープンしたばかりの子ども室内遊戯施設「はれっぱ」などを見てきました。PFIによるDBO方式で建設された「はれっぱ」は、子どもの遊戯エリアと大人も使える休憩エリア(ドトールコーヒー)からなり、視察した際も多くの利用者が次から次へと入場していく光景が印象的でした。

【東町の移住体験住宅】

【子ども室内遊戯施設「はれっぱ」】