2026.10.19
令和8年10月10日(土)、令和8年度第1回視察研修「羽後町のまちづくり視察 ~古民家リノベーションと白井晟一~」に、当会会員10名が参加しました!
羽後町に行く途中、大仙市戸湯沢市に立ち寄り、戦後を代表する建築家・白井晟一氏の設計作品を視察しました!白井氏は明治38年生まれ。ドイツで哲学やゴシック建築を学び、高村幸太郎賞、建築年鑑賞、日本建築学会賞など多くの賞を受賞した日本を代表する建築家です。
秋田では羽後町立羽後病院、旧雄勝町役場、横手興生病院、秋の宮温泉郷「稲住温泉『浮雲』」、旧秋ノ宮村役場などの作品を残しました。今回は、大仙市協和にある「奥田酒造店」、湯沢市にある「顧空庵」と「四同舎」(いずれも登録有形文化財です)を視察しました。

350年以上の歴史を誇る老舗の酒屋で、代表銘柄は「千代緑」。羽州街道沿いにある店舗兼主家の建物は昭和32年に建設され、平成3年に改修されました。木造平屋一部2階建てで、建築面積は316m2。なだらかな切妻屋根が特徴的で、白壁と格子を基本にした1階部分が開放的なのとは対照的に、2階部分は板張りで窓も少なく閉鎖的な印象です。シンプルで洗練された感じの建物でした。

湯沢の外科内科・渡部三喜氏のご両親が昭和28年、東京都世田谷区上野毛に建築した住宅を平成19年に移築したもの。子どもたちが上京した際の拠点をはじめ代々、渡部家が住み、一度は除却が検討されましたが、お母様の遺言メモにより建物を残すことにし、白井晟一氏のお孫さんである白井元太さんの設計で湯沢に移築しました。建築部材をすべてリスト化し、保存の優先度をA~Dにランク分けしながら、オーナーや設計者、施工者が議論。屋根材以外ほとんどの部材を移送したそうです。建物は木造平屋建て、建築面積55m2の住宅。緩い切妻屋根で、焦げ茶色の柱と漆喰の壁が特徴的です。

昭和34年に建設された旧湯沢酒造会館。湯沢市内の酒造業各社が出資し設立された株式会社酒造会館の集会施設で、鉄筋コンクリート造2階建て、建築面積273m2。入口にある黒塗りの柱と、雪深い湯沢ならではの重量感ある屋根、縦に細長い窓の下部に嵌められたハチの巣状の窓グリルが特徴的で、不思議なデザインの建物でした。

精密宝石部品、光通信部品、ダイヤモンド基板などを製造・販売するОrbray株式会社(本社:東京都足立区、並木里也子代表取締役社長)は国内事業をさらに強化するため、湯沢市への本社機能一部移転と新工場の建設を計画。現在、新本社の建設工事を進めています。建設地は成沢工業団地及び県有地(旧湯沢商工高校跡地)。人員体制の増強や魅せる工場づくり、魅力ある職場づくり、社員寮の建設、女性社員の活躍推進などにより、さらに地域貢献を図る方針です。

羽後町西馬音内の商家・旧柴与家(柴田与之助家)の邸宅を合同会社Uが引き継ぎ、リノベーションして令和7年4月に開業しました。今回の視察では、盆宿Uの共同代表、水野健幸さんに設立の経緯や施設の特徴などについてお話を頂きました。


盆宿Uは、築約180年という歴史的建造物の価値を最大限に生かし、宿泊と西馬音内盆踊りを始めとする文化交流の拠点としてオープンした施設です。施設名の「U」には、盆踊りの幽玄な世界観を表す「幽」、人々のつながりを意味する「結」、自由に楽しむ「遊」という意味があります。単なる観光客向けの文化施設ではなく、地域住民も文化を楽しみ、人と出会える場所として構想されました。


約3,600m2の敷地にある母屋、内蔵3棟、外蔵、庭などを改修し、宿泊やサウナ、ラウンジ、コミュニティスペースとして活用。内蔵のうち2棟を客室に、もう1棟をサウナに改修しています。土蔵の重厚な雰囲気や太い梁、木組みなど、蔵の特徴を極力残しながら、現代的な施設に仕上げられています。
客室そばの空間には、県南在住の絵画作家・永沢碧衣さんが制作した大型アート作品が展示されていました!永沢さんが盆宿Uに滞在しながら制作したもので、盆踊りの衣装である「端縫い」と「藍染め浴衣」をモチーフに、地域の文化や魅力を表現しています。これは施設のオープンにあたり「Uアートプロジェクト」として行われたもので、西馬音内盆踊りをテーマにした作品です。


メゾネットタイプの客室のうち約112m2の「端縫い」は、古い絹布を縫い合わせた「端縫い」による西馬音内盆踊りの伝統衣装が展示されています。歴史を感じる室内にはレコードプレイヤーもありました。本県南部の伝統的な染色技法を用いた藍染め浴衣をテーマにした客室「藍染め」(約102m2)には、旧柴与家に伝わる藍染め浴衣を展示しています。いずれも1階にダイニングやミニキッチン、浴室、2階に寝室が設けられています。






ドミトリータイプの客室は、秋田杉の板倉構法を用いた「ボックス」と「バンク」の2タイプがあります。ボックスは4ベッド、バンクは8ベッドで、お値段もリーズナブルです。3棟目の内蔵は、盆踊りの世界観を体験できるサウナとして再生されています。サウナ室では西馬音内盆踊りのお囃子が流れ、編笠や藍染め浴衣をモチーフにしたサウナ用アイテムがあります。西馬音内の地下水を使った水風呂や外気浴もあるそうです。


米蔵だった外蔵を改修した「ラウンジU」は、カフェ、書籍とレコードのライブラリ、DJブースなどを備え、音楽や飲食をきっかけに人が集まる場所。入口を入ってすぐの空間には2階床部分の木組みが残り、奥に進むと空間が広がる立体的な造りです。奥のスペースには丸太のように立派な梁が目を引き、米蔵ならではの広さを活かした開放的なラウンジになっています。宿泊者だけでなく、一般の方も利用が可能で、地域の人たちも気軽に立ち寄れる空間です。



西馬音内盆踊りの活動拠点で、町の観光交流拠点。館内には古い踊り衣装や藍染めの壁掛けなど、地元の女性たちによる手作り作品が展示されています。踊りの練習や鑑賞映像の視聴に使われている「体験交流ホール」では月に1度、西馬音内盆踊りの定期公演が行われています。視察したこの日は定期公演の日。幻想的な盆踊りを間近で鑑賞することができました!施設には外国人観光客の方も訪れていました!



西馬音内盆踊りで踊り手が着用する衣装から名付けられた道の駅。盆踊りの伝統と、町の食や農業の魅力が満載で、羽後町の名物「西馬音内そば」や、羽後町産の生乳を100%使用したジェラートなどが大人気。地域資源を一体的に発信しています!道の駅十文字にも立ち寄り、秋の味覚にもたくさん触れてきました!