
令和5年第1回会員例会が開催されました。
令和5年7月24日、今年度第1回の会員例会を開催し、当会会員13名が出席しました。講師に市議会議員の飯牟禮克年氏を迎え、注目されている秋田市外旭川地区のまちづくり事業について構想の概要や進捗状況などを講演していただきました。
秋田市は、老朽化に伴い再整備する卸売市場と、県道を境に南北の計約51万1,000㎡の敷地で同事業を計画。AIやICTなど先端技術の導入により課題解決を図る「モデル地区」として、外旭川地区を選んでいます。同地区で得られた成果を市内の他地域にも広く波及させ、市全域を充実・発展させるそうです。
まちづくり事業は卸売市場を現在地で建て替え、東側と横山金足線の北側に民間施設、横山金足線の北東側に新スタジアムを整備する計画で、基本構想の策定を終えて今年度に基本計画を策定する予定です。
対象敷地の大部分にあたる36万5,000㎡が、商業施設などの建築を原則的に認めない「市街化調整区域」になっていますが、市は土地利用規制の特例措置が認められる「地域未来投資促進法」を活用する予定としています。
もともと同地区にはイオンタウンが「秋田北/農/工/商共存型まちづくり構想」という複合施設の出店を表明していましたが、当時、秋田市側は「コンパクトな市街地形成を目指す市のまちづくりの方針とは相容れない」などと一貫して否定的な考えを示していました。ですが今回は、市とともに公共的な役割を担う「事業パートナー」にイオンタウンを選んでいます。
事業をめぐっては最近、佐竹知事が事業用地となる農地の脆弱性などを指摘し、「どれだけ現実性があるのか」などと事業の実施を疑問視する発言をしているほか、スタジアムの候補地を再考する必要があるといった考えも示しています。スタジアムの計画が不透明だと、サッカーJ2ブラウブリッツ秋田にクラブライセンスが交付されない可能性もあるそうです。
飯牟禮氏は講演で「再開発について、市民がどう思っているのかを知る機会が少ない」と指摘します。市は最近になって、大学生や高専生を対象としたまちづくりのワークショップを始めていますが、若者たちの声がどれだけ計画に反映されるかは分かりません。
市はこのまま今年度に基本計画を策定し、事業者選定などを経て令和8年度の造成着工を目指す考えを示しており、スピード感をもって取り組んでいくそうですが、市が市民や各機関の意見を聞く「まちづくり懇話会」では、「モデル地区の取り組みに具体性を」「スタジアムと民間施設の事業者を明確に」などの声があがっています。
また、市が市民から意見を募るパブリックコメントでは、「モデル地区にする理由がわからない」「中心市街地の衰退が加速する」などの意見も提出されています。
今回の例会では飯牟禮氏による講演の後、会員同士の活発な意見交換が行われ、秋田市の未来について時間を忘れて熱く語り合いました。
