2026.08.06

TKC東北会秋田県支部 資産活用委員会 大和部会の研修旅行

令和8年6月23日(水)~6月24日(木)、TKC東北会秋田県支部・資産活用委員会大和部会の研修旅行に、当法人6名が参加しました。今回は、周辺の新たなまちづくりが進む北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」、インバウンド観光客にも人気の「ニッカウヰスキー 北海道余市蒸溜所」、運河や多くの歴史的建造物で観光都市として賑わう小樽市を視察してきました。

~札幌→北広島編~

【エスコンフィールドHOKKAIDO】

令和5年に開業したエスコンフィールドHOKKAIDOは、その周辺エリアを含めた「北海道ボールパークFビレッジ」の中核施設。30,000席の観客席が埋め尽くされ、世界最大級の大型LEDビジョンと最新鋭の音響設備によるエンターテイメントは圧巻です。世界初の球場内温泉とサウナ、フィールドが一望できるアジア初の球場一体型ホテル、飲食店、テイクアウトフードコーナーがあります。屋外には広場、ドッグラン、ガーデンなどがあり、エスコン自体が一つの「街」になって多くの人で賑わっています。

左手がエスコン。周辺ではマンションの建設が進みます。

日本ハムファイターズの一軍本拠地はもともと東京ドームでしたが、人気の巨人の試合が優先されることが多く観客数を確保できなかったため、地域密着型に転換。当時、球団がなかった北海道に拠点を移しました。FIFAワールドカップのために建設された札幌ドームを本拠地としたことで、観客動員数は激増。しかし、年間約9億円の施設使用料や、20億円以上の年間維持管理費をドーム所有者の札幌市に支払わなければならなかったうえ、広告収入や飲食・グッズ販売収入などもドーム側(札幌市側)に回り、十分な利益を確保することができませんでした。また、サッカーとの共用施設だったため、座席の改修や演出への投資も制限されるなど、日ハムにとっては使用コストが高いうえに自由度が制限される施設になっていました。

「球場を中心としたまちづくり(ボールパーク)」の実現を目指していた日ハムは、北広島市の熱烈な誘致活動により、エスコンフィールドを核とするボールパーク構想に乗り出しました。市がファイターズに提案書を提出し、「きたひろしま総合運動公園予定地」だった約32haに新球場の建設が決定したのです。

エスコンフィールドの全景です。
高校生の団体など相当数のバスが並び、入場者数の多さが想像できます。
国内外からの人で埋め尽くされる観客席。
大型LEDビジョンも迫力があります。

エスコンフィールドができたことで、人口約5万6,000人の北広島市には今、多くの起業家が集まってきており、人口転入が転出を上回る「社会増」が続いているそうです。ホテル・観光業界でAIを活用した宿泊施設の変革を推進する株式会社SQUEEZEも2025年、本店を北広島市に移しています。Fビレッジ周辺にはこの先、JRの新駅ができ、高級ホテルやタワマン、商業・オフィスの複合施設が開業するほか、当別町から北海道医療大学も移転してくるなど、大規模な開発が予定されています。「野球場が街になる」―このまちづくりは、日本のモデルケースと言っても良いのではないでしょうか。


【ダイワの分譲マンション「モンドミオ」】

大和ハウス工業が展開を拡大している分譲マンション「モンドミオ」シリーズも視察しました。写真は札幌市の北九条に建設中の物件です。内部には柔軟な利用が可能なフロアを設け、居住だけでなく日本の民泊新法に対応した短期賃貸規制に基づき、年間最大180日まで賃貸運用できる点が特徴です。北九条の物件は札幌駅から徒歩4分で、実際に歩いてみましたが近くには北海道大学、小学校、役所、ホテルなどがある好立地でした。完成が楽しみです。

~余市・小樽編~

【ニッカウヰスキー 北海道 余市蒸溜所】

片手にテイスティンググラスを持ったおじさんのラベルでおなじみ、ニッカウヰスキー。「日本のウイスキーの父」と呼ばれる創業者の竹鶴政孝は、NHK「連続テレビ小説」で2014年度に放送された「マッサン」でもよく知られています。余市蒸溜所は、竹鶴氏がウイスキーづくりの理想郷として選んだ余市の地で、1934年につくられたニッカウヰスキー初の蒸溜所。原材料の加工から仕込み、発酵、濾過、蒸溜、貯蔵まで、製造に関する施設が昭和初期の建築のまま残されています。

ヨーロッパ中世のお城のような事務所棟正門

余市は北に日本海があり、山々に囲まれています。冬に山で積もった雪が春に解け、余市川に注ぎ込むことで、その清流が原酒の仕込水になります。海風と川霧の湿潤で澄んだ空気は樽貯蔵に欠かせない好条件だそうです。また、北海道はモルトウイスキー「大麦」の産地で、石狩平野では麦芽を乾燥させるピート(草炭)や燃料となる石炭が採れたことも、非常に良い条件だったと言われています。
実家が広島の造り酒屋だった竹鶴氏は日本酒より洋酒に興味を抱き、大阪の酒造会社に入社、スコットランドでウイスキーづくりを学びました。そこで通った大学の関係で後に妻となるリタと出会い、モルトウイスキーの製法などをまとめた「竹鶴ノート」とともに帰国。余市を最初の蒸溜地として選び、初の国際ポットスチルも設置しました。一流のウイスキーづくりを目指した竹鶴の情熱は、今も職人たちに受け継がれているそうです。

この近くから、ウイスキー誕生の歴史が分かる「ニッカミュージアム」に入ることができます。

2000年に発売された「竹鶴ピュアモルト」。モルトウイスキーは原酒の個性が出やすいものですが、竹鶴ピュアモルト寒冷環境の余市蒸溜所が生む荒々しいモルトと、渓谷に囲まれた宮城峡蒸溜所が生む軽やかなモルトを独自のブレンド技術で調和させ、飲みやすいモルトウイスキーを実現しました。

ミュージアムの奥にはテイスティングバーがあり、有料の試飲ができます。モルトウイスキーの蒸溜器「ポットスチル」の周りがカウンターになっており、スチルを眺めながら飲み比べできます。
余市蒸溜所にはミュージアムのほか、レストランや売店、竹鶴氏の銅像、旧竹鶴邸、樽が並ぶ貯蔵庫、蒸溜棟などがあります。蒸溜棟ではポットスチルの下部に石炭をくべる様子を見るとこもでき、多くの観光客でにぎわっています。

【レトロな街並みが観光客を呼ぶ、小樽市】

北海道有数の港湾都市である小樽市は、明治時代に石炭の積出港として開発された後、道産品の鉄道・海上輸出港となり、経済・物流の中心地として栄えました。昔は都市銀行の支店が多く集積し、北海道最大の金融機関だったため、「北のウォール街」とも呼ばれました。銀行支店の建築物は現在、レトロな街並みを形成するうえで重要な観光資源となっています。このような歴史・景観だけでなく、水産物を始めとするグルメも大きな魅力で、国内だけでなくインバウンド観光も大変な賑わいを見せています。

小樽を代表する観光スポット「小樽運河」は、かつて港に届いた貨物を運ぶ小型船で賑わいました。倉庫群が並ぶレトロな景観が人気です。

境町通りのメルヘン交差点にある「常夜灯」。昔は灯台として人々の暮らしを支えていました。現在の常夜灯は、明治7年に焼失した木製灯台を再現し、平成9年の交差点整備に合わせて設置されたそうです。待ち合わせや写真スポットとして活躍しています。

境町にある北一ヴェネツィア美術館。中世のイタリア・ヴェネツィアの宮殿をイメージした建物です。小樽は外灯だった石油ランプや、漁業で使われる浮き球(ガラス玉)など、ガラス産業が発展した街。ヴェネツィアにも運河があり、ガラス工芸が盛んという点で小樽と共通点が多いため、伝統的なヴェネツィアガラスを後世に受け継ごうと、1988年に北一硝子がこの美術館を設立しました。

館内では、様々なガラス工芸が販売されています。2階~5階が展示室となっており、ヴェネツィアガラスの伝統技法作品が約3,000点、展示されています。

ヴェネツィアンガラスは、ヴェネツィアのムラーノ島で生まれたものです。この島は13世紀から続くガラス工芸の聖地として知られており、今でもその技術が受け継がれています。写真はムラーノガラスの工房「バラリン工房」のマエストロ、ジュリアーノ・バラリンの一点。独特のレースガラス技法を守り続ける、職人技がなすガラスです。

「不動の人気商品」と書かれた醤油差しのコーナー。色とりどりの綺麗なガラスは、醤油を入れるのがもったいないぐらい美しいです。個人的には右上の3点に惹かれました。橙色の硝子に瑠璃色の繊細な柄が素敵です。硝子の表面に図柄のシートを貼り、金剛砂という砂を吹き付け硝子を彫るという「サンドブラスト技法」でつくられており、熟練した職人技による逸品だそうです。

洋菓子ブランドのLeTAO(ルタオ)は、小樽(オタル)の地名をアレンジしたもの。ルタオパトスは小樽市内のルタオで最大の店舗でショップとカフェがあり、混雑していました。

小樽にはこのほか、ニトリホールディングスによる美術館「小樽芸術村」もあります。「似鳥美術館」「旧三井銀行小樽支店」「旧高橋倉庫(ステンドグラス美術館)」「旧荒田商会(ミュージアムショップ)」「西洋美術館(旧浪華倉庫)」からなり、似鳥が所有する美術・芸術品の中から時代背景に合ったものが展示されています。残念ながらこの日は全館休館でしたが、建物だけでも一見の価値あり。小樽に行かれたらぜひ、訪れてみてください。

札幌、余市、小樽を視察した今回の研修では、最新のコンテンツが溢れるエスコンフィールドとその周辺のまちづくり、歴史と文化が織りなす札幌近郊都市の発展に触れ、様々な建築物とともに都市として賑わう仕組みを肌で感じることができました。何度行っても、新たな発見がある街は本当に魅力的です。ぜひまた訪れてみたいと思いました。

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