2019.08.08
令和元年8月7日(水)、秋田市中通の「パーティーギャラリーイヤタカ」で開催されたTKC秋田県支部主催の講演会に、当法人の会員14名が参加しました。今回の講師は秋田市出身の冒険家であり、日本人初のルートで南極点に到達した阿部雅龍(あべ・まさたつ)さん。
山形県出身の冒険家・大場満郎(おおば・みつろう)さんの「人生1回しかないから、笑って死ねる人生がいい」という言葉に衝撃を受け、家出同然で冒険家を志した阿部さんは、人力車業を浅草で続けながら、スポンサー料や個人からの支援で世界中を冒険しています。危険な冒険でいざという時に救助してもらい、冒険資金を支援してもらうには、冒険先の「地元の人の信頼を得る」ことがとても大事だそうです。言葉も話せないところから思いを伝え、仲良くなり、信頼を得ながら支援の輪を広げます。
南極の温度はマイナス30℃。バクテリアも生きられない過酷な環境を、重さ100kgのソリを引きながらスキーを履き、たった1人で1日に10時間以上歩く―。視界が最悪のホワイトアウト、氷の割れ目から海に落ちる恐怖…1つのミスや一瞬の気の緩みが「死」につながる世界です。
阿部さんが命がけで南極に挑戦しているのには、ある理由があります。それは、にかほ市出身の偉大な探検家、白瀬矗(しらせ・のぶ)が到達できなかったルート(阿部さんは「白瀬ルート」と呼んでいます)で、南極点に立つということです。
険しい山岳もある、前人未踏のルート達成。それでも阿部さんは「必ず乗り越えられる」と信じています。100年前の秋田県人が達成できなかったことを、100年後の秋田県人が叶える―この冒険は阿部さんにとって「前世代の夢をつぐ冒険であり、次世代に夢をつぐ冒険」だといいます。
「人生は、あきらめずに今できることを日々一生懸命やること。そうすれば、意思を継ぐ者は必ず出てくる」―そんな信念を持って夢を追い続ける阿部さんのお話には、ビジネスマンのヒントになる考えや言葉がたくさん散りばめられていました。
阿部さんはおわりに、もう1つの夢を語ってくれました。それは「秋田に冒険学校をつくり、チャレンジすることが当たり前の環境をつくる」こと。今年11月に前人未踏のチャレンジを控えた阿部さんが、未来のチャレンジ精神を育む夢を語る姿がとても印象的でした。